Sunday, September 27, 2009

失われたハーディ・ガーディを求めて

 
 

 
"失われたハーディ・ガーディを求めて"
 
 
お告げ
 
この前電車で帰宅している最中、お告げがあった。
"失われたハーディ・ガーディを求める旅に出なさい"
 
僕は最近多忙を極めていたので、"ちょっと今忙しいからお告げはまた今度にしてくれ。"とうまくかわそうとしたのだけれど、なんて珍妙で興味深い物語。僕は失われたハーディ・ガーディを求める旅に出たくなってしまった。
 
それもこれも、ICCの畠中さんと何気なくオープンリールのことを話していたことが全ての始まり。畠中さんがふと、"僕も昔オープンリールいじってたよ。でも音の方じゃなくてビデオの方ね。映像を記録するもんだからテープが海苔みたいにぶっ太くてね"なんて言うから驚いた。
 
"ビデオ(映像)のオープンリールってあったんだ"
・・そんな訳でそのマシンは一体どんなものだろう?という興味が収まらず、googleで調べてみたら・・見つけた!映像版オープンリール。こんなものが存在していたとは。VHSのビデオカセットが生まれる以前からテレビ放送局で使われていた機械なんだとか。そして僕はある"構造"に興味が湧く。
 
 
面白い構造
 
 

 
よくよく動画を見てみると、要は巨大なビデオテープレコーダー(VTR)ということで、僕が以前調べて知った"ビデオデッキのヘッドは回転している"という構造や仕組みは同じことがわかった。ということは映像版オープンリールは回転体が3つも存在するハイパー回転機 !!
けれども僕は勉強不足で何故映像を書き込み / 読み取りする際にヘッドが回転しなくてはいけないのかが未だに理解できていない。軽く調べた限りでは、情報量の多い映像信号の場合は高速にヘッドが回転する必要があるということらしい。そして、この"ヘッドそのものが回転している"という構造は、ある自然科学的な面白い考えに僕を導いてくれる。
 
 
"静止"="持続"
 
ビデオデッキには"一時停止ボタン"というのがあって、そのボタンを押すと映像はその瞬間"静止"する。何故テープが走行しない(リールが回転しない)のに静止画像という情報が出力され続けるのだろう?と以前も疑問に思ったのだけど、その答えはとても単純だった。つまり、読み取りをする"ヘッド自体が回転"していたのだ。
このことから、"静止"とは、ある状態を"持続"させていることなのだと改めて気がついた。例えば写真のような"静止画"とは、一見"時間が止まっている"かのように感じるけれど、実は"時間"という"回転するヘッド"に相当する"動的なもの"があるからこそ存在("持続")できるということにハッとした。
 
 
空想演奏
 
この気づきから、僕は音が好きな人なので、"映像における静止画とは音でいうところの持続音"という変換を頭の中で行った。その上で仮説を立ててみた。もし、映像版オープンリールに"音の情報"を"映像の情報"として変換して記録(録画)したら、"回転するヘッド"の構造を生かした楽器が誕生するのではないか。例えば、ド、レ、ミ、ファいう電気信号を映像版磁気テープに記録(録画)した場合、ヘッドは常に回転しているので、ヘッドに当たるテープの位置によって音階を奏でることができるのかも・・?
 
そして面白いのは、この構造だと"リールの回転速度は音のピッチの変化に繋がらない"という点。何故なら、映像におけるテープスピードは"動画の速度”を変化させるものであるから、それはつまり音に置き換えて考えてみると、ピッチが変わらずに音の変化するタイミングを選択するという感じなのだろうか?例えば「こんにちは」という音声を"録画"してリールを手で回転させたとしたら、「こおおおお、んんん、にいい、ちいいい、わああああ」みたいになのだろうか?うーん、どうなるのかが非常に気になる。
 
(あれ?こういう音ってどこかで聞いたことがある。あ、ディレイのディレイタイムをもの凄く短くした時にそんな感じになった気がする。そうか、非常に短いテープの一定区間を回転するヘッドが読み取り続けるということだから、そういう音になるはずだ!)
 

 
これより始まる物語
 
つまりこの機械は、リールを手で回し、テープのどこが回転するヘッドに当たるかということを調整しながら音階をつくり、メロディーを奏でるハーディ・ガーディ、或は鍵盤のないシンセサイザーとして使うことができるのではないか。そしてそれは物理的・必然的に視覚と聴覚がシンクロした失われた"映像楽器"なのかもしれない。うまくいかなくていいから確かめてみたい。しかし、この機械が入手できそうなルートは簡単に見つかりそうもないし、第一この機械の存在自体、僕にとっては夢か幻のような感覚だ。
もしたまたまこの記事に辿り着いた方の中に、"あ、これで毎日映画観てる"という所有者の方がいたら是非ご一報よろしくお願い致します!!
 
 

 
この機械は、たぶんどこかで演奏される時を待っているに違いない。いや、もしかしたら僕に分解されるのを恐れて逃げてしまうかもしれない。こんな勝手な空想で軽くトリップ状態の今日この頃。失われた楽器を求める旅へ・・。
 

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