今も脳内を駆け巡る東南アジアの第四次元的光景。それらが時々脳内でフラッシュバックを起こすと、無性に電子音を欲する。僕は大学1年の頃にベトナムはホーチ・ミンに観光旅行に行ったのだけれど、そこで数々の衝撃と出会った。その体験が自分に想像面で影響を与えている。
2006年の夏休み、料理が美味しいからというミーハーな理由で遊びに行ったベトナム。しかし、完全にあの町を甘くみすぎていた。その西洋と東洋、土とエレクトロニコス、田園を歩く水牛とコンピューンを始めとする近代テクノロジーとが奇妙に同居した風景は僕の想像力を無限に掻き立てた。
特に、町の一角の寺院で見た光景は脳裏に焼きついている。僧侶が過剰にリバービーなアンプでお経を歌い、バックではエレキギター奏者がノイズをかき鳴らし、その横でお婆さんが木魚と胡弓を鳴らす。僧侶や仏像の背後には巨大なエレクトロニコスデコレーションが取りつけられており、それらはコンピューン制御によって明滅と拡大と収縮を繰り返していた。(動画はベトナムのものではありませんが、とても近い印象です。)
そこでたまたま目にした光景は、僕にとって珍妙で強引なドッキングであり、ファンキーかつ変態的なミクスチャーであり、神秘主義的な異国のテクノロジー像であったことは間違いない。しかしそこにいる人たちにとっては何ら不思議でもない日常的な感覚。そうやって考えてみると、確かに電気という近代的魔術を伝統的な魔術の中に取り入れただけなんだということに気づく。そもそも「普通」や「異質」とはとても相対的なもの。僕らの暮らす世界における感覚は、ひとつの在り方に過ぎないのかもしれない・・考えさせられた。
動画はこれもまたホーチ・ミン近くにあるカオダイ・グレート・テンプル。カオダイ教は世界の名だたる宗教の良き教えをDJのようにミックスして高い台(カオダイ)の上に誕生したという宗教で、"天眼"と呼ばれる宇宙原理の象徴を毎日崇めるという。最初に観たときは正直びっくりした・・。
Cao Đài Great Temple
そして僕はそれらの光景や異なる日常感覚を間近で接して、彼らがテルミンやシンセサイザー、ラジオやリズムマシン、メロトロンやサイン波生成機器などの近代テクノロジー楽器を天上界と交信するための音楽道具として使い始めるのは時間の問題だな、と感じた。そんなことを今でも勝手に考えては、わくわくしたり悪夢を見たりする。そうして沢山の勝手な超現実的第四次元がぴよんぴよんと耳の奥に溢れ返っていくのであります。
LINK
Webで見つけたベトナム寺院レポート
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