Friday, November 03, 2006

Private-Publicity

 

「日記」とは、本来一人で書くものだ。しかし、もはやネット上の「ブログ」は他人に読まれることを前提としている。

以前大学に講演に来た小説家の平野啓一郎はこう語る。
「人は、インターネットを通じて、社会的に抑圧されている私的な要素を吐き出したいのだ。」
つまり、ネット上の日記は、一見パブリックでありながら、大衆を介すことなく、プライベートに他人と繋がる状況の中で、ある種の表現の解放を行う場なのである。例えそれが数人にしか読まれなかったとしても、人は内的宇宙の解放を求めて、情報ノイズの中へと自己を没入させていくのだ。そして、自らの中に燻っている私的な要素を吐き出したいのである。

更に平野啓一郎はこう続ける。
「もし私がこの壇上で、私はおっぱいが好きですと言ったら、いくら男性全般の中にそのような欲望があったとしても、この発言は私の署名をされてしまう。しかし、誰もが思っていることに違いはない。
小説やブログは、大衆を介すことなく、プライベートに人々を繋いでいる。ここではある種の匿名性が働く。公では言いづらい、しかし心の中で思っていることを、表現することができるのだ。
18世紀になり、書物という文化が生まれ、作家の書く物語が黙読によって読まれるようになると、そこには、以前にはなかった変態的な描写の数々が露骨に表現されるようになった。まあそんなことはどうでもいい・・。」

・・そこで、我が輩もこのブログ:蒸気幻楽の青を通し、普段から心身の内部に蓄積している蒸気ココットの数々をここに記していきたい。そして、自らの脳内に響き渡っている風や空気や貝殻を情報ノイズの中へと産卵していきたいと思い候。
 

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