
オーラムタムの夢を見た
オーラムタム・・オーラムタム・・とどこからか不思議な歌が聞こえてくる
静まりかえった夕暮れの街にオーラムタムの歌が響く
空を見上げると、時間の裂け目からオプラパスカルの蒸気が溢れ出している
100億年の霧が空の向こうで爆発したのだろう
僕は時計の時刻を合わせると、東海岸へと続くレンガの道を急いだ
夕日に染まった路地裏を抜けると、風化した建物と古びたプラットホームが永遠と続く海岸沿いの街に出た
かすかに波の音が聞こえる 空気にも潮の香りが混ざっている
オーラムタム・・オーラムタム・・僕は歩く
海辺には巨大な西洋建築物が建ち並ぶ
大聖堂の時計は12時のまま止まっている
ふと見ると、自分の時計も12時をさしている
どこからかラジオの音が聞こえる
明日は雨か嵐になると天気予報が告げている
しかし実際には遠くの方から飛んできた大量の砂によって、街は急速に砂漠化していた
万が一雨が降ったとしても、黒い雲が運んでくる酸性の雨に違いない
僕はそう思った
ひっそりと静まり返る街に鐘の音が響いた
僕はぱたぱたと風になびいている風輪塔の凧を見た
オーラムタムの歌はきっと風が生まれる場所からやってくるに違いない
僕は歩き続けた
太陽は沈み、夜の匂いが背後から追って来た
給水塔と鉄塔の聳える街の心臓部を抜けて、僕は歌を追って歩く
雲は笑わず、昔の記憶は潮風に攫われてしまった
白黒の朝は刻々と時を刻み、僕は風の流れに彷徨う
オーラムタム・・オーラムタム・・ラジオからは以前として明日の天気予報が流れる
今日の夜風は強く吹いている
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