Sunday, July 26, 2009

パゴダの町からの贈り物

    

 
ミャンマーの楽器職人からとても嬉しい贈り物が届いた。金属ホーンが取りつけられた"ストローホーンヴァイオリン"。遠い銀河の音を奏でることのできるヴァイオリン、と僕が呼んでいる楽器で、この度友人の知り合いのヤンゴン在住の職人が「音楽をやっている日本の若者がいるのか。よしアジアの友人のために!」と言って僕のためにわざわざ手作りかつ無料で制作して送ってきてくれた。ありえない !!
 
 

 
その昔、19世紀末の録音技術がまだ未発達だった時代、蓄音盤に音の溝を深く刻み込むため、拡声器つきのヴァイオリンを英国のストロー博士が発明。その後どういう経緯なのか、この楽器はミャンマーに渡来、何故か土着の伝統音楽と結合。録音技術の発達にとともにヨーロッパではその姿を消したけれど、ミャンマーでは本来の目的を失った今でも製造・演奏され続けているらしい。確かにその音色はどこか哀愁を帯びた響きでミャンマーの夕暮れにはぴったりだし、この金ぴかに光る金属部分は金箔塗装されたパゴダ(動画参照)やゴールデンロックを連想させる。
 
 

 
西洋発祥の手風琴がインドに渡って土着の音楽と合致し(或は吸収され)、現地の人の手によって改造されながら"ハルモニウム"という楽器として今でも演奏され続けているのとどこか似ている。
それにしてもこのヴァイオリン、やたら重いし、弦高に差がないのでとても弾きにくいらしく、合理的なデザインとは言えないようなのだけれど、そういうところがなんだか好き。後ろからにょろっと出ている小さい金属ホーンは最初何のためについているかわからなかったけれど、たぶん"返し"なんじゃないかと思う。でもそのホーンからは殆ど何も聞こえなくて、しかもよくぽろっと取れる。デザインにノイズ性が高いところが興味深い。
 

ところで同封されていた現地の楽器店のパンフレットには、エレキギターやマーシャルのアンプといった近代テクノロジーの産物が並ぶその横に、何の変哲もなくガムランセットや竪琴がラインナップに並ぶ。こうした異文化的、異時間的な同居に、しばしば第四次元を感じる今日この頃。幻想第四次の香る超現実的な日々の泡・・泡・・。
 
 
LINK(googleで検索をかけたらこんな記事を発見!)
ラッパのついた弦楽器再び ~シュトロー弦楽四重奏の調べ~
 

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