何か刺激が足りないなあ、と思ったら僕はとにかく友人達と会うことにしている。毎日哲学書を読みあさっては遠い世界で思考を巡らせている友人や、幻覚について研究する友人、古今東西様々な音楽に詳しい友人達と落ち合って、面白い話を聞き出すのだ。あの不可思議な紋章が入り口に書かれたアジア料理店で。
いつものようにパッタイを食べながら話に花を咲かせていると、ある人物が突然思い出したかのようにこんなことを言う。
"今福龍太・・もしかしたら彼の本から何かインスピレーションを得ることができるかもよ。確か・・「移動する聖地」という本にあなたが反応しそうなとんでもない写真や文章が載っていたよ。"
今福龍太さんという文化人類学者と、「移動する聖地」という謎めいた言葉。この2つのキーワードを忘れないうちにメモした僕は、もう既に幻想第四次と現実世界との狭間に足を踏み入れていたのかもしれない。
家路について調べてみると、「移動する聖地」というのは、初台にあるICCという美術館で1998年に開催された展覧会の名前で、そこで繰り広げられた対談をまとめた本だということがわかった。ついこの間まで自分の作品を展示させて頂いた場所だったので、思わず"ICCじゃん!"なんて驚く。
次の日、僕は早速ICCに電話を入れてみた。その本があるかどうか、借りることができるかどうか。
"よくそんな古い本知ってるなあ!あるよあるよ、しょうがない貸してやるか〜。"
そうして僕はその謎めいた本を手に入れたのだ。それが、不可解で珍妙な物語の序章だとも知らずに。
(つづく)
2 comments:
早くつづきを書け 笑
そういえばあそこのモニターも何やら宇宙の虹色電磁波に侵されてたわね。
最近 蒸気青月楽団のCDをリピートしてる
あなたは誰?はい、忙しくて。ごめんなさい、書きますのでお待ちを。
音楽聞いて頂きありがとむーにょ。
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