Saturday, February 20, 2010

Braun Tube Jazz Band Talk

 
photo by Sumi Takeshi

 
 
メディア芸術祭があっという間に通り過ぎていった。期間中、ライブに加えて今年はプレゼンテーション・ステージと呼ばれる制作者のスピーチを行う場が誕生。僕は何故か期間中4回も行うというハード・スケジュールでしたが、何とかこなしました。
 
1回目は今回の作品をつくるに当たって相談に乗ってくれた人類学を他大学で専攻する友人が聞き手として登場。打ち合わせできていないのに思いつきで実物を使って丁寧に説明しようと、心からのサービス精神を発揮したことが裏目に出てグダグダで無惨な感じに。しかし、「ああ、日常にはそんな秘密や不思議が隠されていたのか!」と少しでも感じて頂けたなら、この回はnot badです。
 
 
 

引用元:メディア芸術祭Blog

 
 
2回目はICCより学芸員の畠中実さんがゲストで登場。僕が過去にお世話になった畠中さんとコンタクトをとり、対談する運びとなりました。しかし、本番数十分前に到着した氏は、まさかあんな大多数が聞く場所だとは思っていなかったらしく、焦りの色が隠しきれない様子でしたが、これが即興性高くとても熱かった。
 
「まあ、仕組み的にはマクラレンだよねえ。」という厳しい一言から切り出され、「まさかここでぶっ潰す気かっ!」と心の中で一瞬焦ったのも束の間、「ここが、ミソだよねえ。きました!」といった感じで、互いにテーマと関連するキーワードを見つけては盛り上がり、予想だにしないファンクなグルーヴが生まれた。それにしてもメロトロン、70年代ロックといった、末端的な話題を先端的なメディア芸術祭で放出させてしまった訳で、会場の方がどう思っていたかは不明です。ただ、表現において「旧式メディアを選択する意味」について話し合うことができたのは良かったです。
 
その後楽屋でカーラ・ブレイの"Escalator Over The Hill"という傑作レコードをかけ、そこに流れる怪しげなメロトロンとサックスの調和に疲れ果てた身体を委ね、宇宙を見たことは言うまでもない・・。
 
 
 

引用元:メディア芸術祭Blog

 
 
3回目は一人トーク。会場でのパフォーマンスが終わった直後、汗をふきはらい、呼吸を整えながら、即興性高くこの回も喋りました。演奏後でリズムが残っていて、何だかスラスラと言葉が出て来たのを覚えている。この回は人も減らず、一度爆睡した人も後半起きて僕の話を聞きながら笑顔でうなずいていたのでとても嬉しかった。
 
4回目は記憶から消し去りたい。さすがに連日の疲れがピークに達し、「早くメディア祭終わらないかな。」という負の感情も抱くようになり、何だか教育機関にいそうな権力者のように喋ってしまった。恥ずかしいので、記憶から消します。
 
以下、トークで出した(出し切れなかった)YouTubeの動画を、ここに貼付けておきます!会場にて聴いてくださった方々に心より感謝申し上げます。ご清聴ありがとうございました。
 
 
 

 
V1. Norman McLaren - Pen Point Percussion :
音がフィルムに光として記録されている部分に直接筆で絵を書いて音を作り出す!この時代、映画の効果音はこのように作られていたらしい。「パラパラ漫画から音をつくる」という実験を僕がしていた時に、知人より教えて頂きました。音=波。
 
V2. Norman McLaren - Dots :
1940年代の作品。音と映像のシンクロ。
 
 

 
V3. Playing the Mellotron :
対談にて登場。鍵盤の数だけ中に音をサンプリングしてあるテープレコーダーが内蔵されている夢のようなシンセサイザー。既存のものを組み合わせて生まれたブリコラージュ的楽器。テープによる音色に思わず涙してしまいます。
 
V4. Christian Marclay mini documentary :
"録音メディア自体を楽器にする"という活動で有名とのこと。つい最近、知人に勧められ遅ればせながら知る。カッコヨイ・・。
 
 

 
V5. Konono No.1 :
コンゴ共和国の電気親指ピアノのテクノ・バンド。伝統音楽と近代テクノロジーのマリアージュ。"コンゴトロニクス"というアルバムが有名のようだけれど、是非次はSonyのトリニトロン(ブラウン管モニター)を使って"トリニトロニクス"というアルバムを出してください!
 
V6. Group Inehane - Ano Nagarus :
サハラ・ロック !!
 
V7. gamelan gong kebyar :
この叩いている金属の物体が全てブラウン管テレビデオになれば、Braun Tube Televideo Gamelan Orchestraが出来上がるのです。VHSテープには金属的周波数の映像を録画しておいて。。
 
 

 
V8. Nam June Paik's Installation :
ナム・ジュン・パイクによるビデオ・インスタレーション。彼の作品を使って演奏したいなあ。。
 
 

 
V9. King Crimson - Peoria from Earthbound (1972) :
対談で登場。当時、客席からカセット・テープで録音したこのライブ・アルバムは、凶悪なまでに音が歪み、海賊版レベルの音質だった。しかし、この音質の破壊力故に、これが後のノイズ・ミュージックのルーツになったと言われている・・。B面の無意味に続く変態ドラムソロは必聴です。(残念ながらこの曲しか見当たりませんでした。)そして、僕の思い出の1枚でもあります。

 

4 comments:

Anonymous said...

「Tempest for Eliza」についても触れてあげてください。

Ei Wada said...

調べて知りました!これはかなり近いですね。僕もラジオで電波の存在を知りました。もう4年も前のことです。次に印刷物や絵から音(ピッチ)を作る、ということをやっていました。http://www.youtube.com/watch?v=MDvI9tefA3A
 
情報理論に詳しい人が見れば当たり前なのでしょうが、やはりわくわくします。

Anonymous said...

アーティストではこの方が有名かもしれない。Erich Berger
http://randomseed.org/tempest/
こちらがライブですね
http://video.google.co.jp/videoplay?docid=-2737349309306584111

Ei Wada said...

おお・・!!一体何を使っているのでしょう。VJソフトと、パソコン画面とエフェクター?気になります。やはり白黒=音な訳ですね。世界は広し。