Friday, June 20, 2008

駒場にお邪魔

 

東大の池上研の見学へ。複雑系という大きなテーマの中で、実に多様な研究や創作が行われていた。宇宙、天候、経済、社会、政治、生命といったシステムが全て複雑系であることもあり、扱う範囲は非常に領域横断的。今とてもホットな「考え方」をもとに、あらゆる実験が行われていた。更にここでは研究活動と平行して複雑系を芸術や音楽といった表現の分野へ応用するという試みも盛んで、非常に興味深かった。
今後は環境の複雑さに合わせて動きをつくるロボット、何かの目的を遂行するだけではないロボットの研究を行っていくようだ。ここから何か面白いものが生まれる予感がする。見学の後は駒場の修士課程に通う友人とお茶。キャンパス内にレストランやカフェテリアが沢山あるのは羨ましいなあ。

複雑系とは複雑なものを複雑なまま理解しようという考え方で、熱力学から生まれた考え。高度に複雑化した現象を要素還元できる単一の原理で説明するのではなく、複雑なまま理解しようというものだそうだ。
調べてみたところ、複雑系的構造は身近なところに多く存在している。例えば入ることも出ることもできる駅の改札口。混雑してくると人の流れが生まれ、いつの間にか出口専用・入口専用の改札ができ、ある秩序が形成される。ミクロな流動的かつ偶発的な個々の動きが、マクロな全体の安定状態を生むということが起こるのだ。この現象は自分で自分の構造を組織する「自己組織化」とも呼ばれるらしい。また、偶然に揺らぎが入ることによってこの秩序は崩れたり、新しく生まれたりする。
 
「シンプル」に複雑系の面白さが伝わってくる作品が見てみたいです、と言うと先生は「シンプルにかあ。どうしても複雑に考えてしまうからねえ・・」と複雑系学者ならではのハイセンス・ギャグを開門。
 
そういえば複雑系で個人的に思い出すのが、昔SFCの佐藤研で制作したパラパラ漫画の課題。ライフゲームをパラパラ漫画上でやってみる、という実験を出発点に、自分で決めた独自のルールによって「動き」を生み出すフリップ・ブックを制作せよというもの。自動的に生成される「動き」の面白さを探求する取り組みだった。
ライフゲームは個々のドット同士にあるルール設定してアニメーションをつくることで、生命の進化や淘汰といったプロセスをシミュレーションする。部分の相互作用が全体像を作り出し、でたらめに打ったドットから様々な動きのパターンが生成される。最初にこれを見た時はとにかく興奮した。生命や社会の構造が可視化されているみたいで怖いという感覚もあった。とにかく世の中には面白いことが満ち溢れてる。もっと色々と知りたくなった一日。
 
ライフゲームのパターン↓