Tuesday, February 09, 2010

未来世紀ブラウン管の光/音

  


 
メディア芸術祭でのライブ活動も残り5日間。
贈賞理由を遅れて読む。サイエンスな文脈から評価されたのか、社会学的な文脈から評価されたのか、それとも「ノリノリでいいじゃーん♪」だったのか、「ナム・ジュン・パイク新解釈!?」だったのか、評価ポイントがどこだったのか気になっていたのだけど、理系寄りの側面だった!
 
 
 
「Braun Tube Jazz Band」<贈賞理由>
メディアの存在という抽象的な概念について具体的に提示される機会は比較的に少ない。この作品ではシャノンの情報理論を具体化したような、メディアについて改めて考えさせられる出来事が存在した。「ある日、サウンド接続ケーブルをコンポジットビデオコネクターに挿してしまったことで、画像化されてしまった。それを見て、カメラで再録画し、それをサウンドに出力したら、同じ音が再生されるのではないかと考えた」。この発見から、この作品は始められた。つまり、音は画像化しても音として復元できるということだ。 ひとは日常的にさまざまなメディアを扱いながら、具体的な結果からしかメディアを判断していないのではないか。この作品は、私たちに改めて、可塑性や復元性のある技術を利用した世界で表現や生活をしている自覚を与え、また、それを表現へと高めている。(出典:メディア芸術祭web
 
 
 


 
確かに、僕が素直に驚きだったのは、「画像=音」を見つけた (に気づいた) 時だった。音を映像に、そして映像を音にできるということ(上の図/1:カメラを使って映像を音に。2:身体を使ってテレビの電波を拾い音へ)。デジタル・カメラの映像出力端子をギター・アンプに繋ぎ、カメラの前で「手描きの音の模様」を書いたパラパラ・アニメーションを動かすと、そこから音が生まれた。或は、テレビに画像が映っている時、画面からは電波発せられており、それは音にすることができた。絵から音を生み出すことができる、というより「絵=音」ということが純粋に驚きだった。身近な電化製品が、視覚と聴覚という分断された知覚世界を繋ぐ通信機の役割を果たす・・日常に潜む秘密(銀河)に触れたような気がした。
 
僕は更にこんなことも見つけた。それは、テレビの映像入力に「こんにちは」という音声を入れ、光の映像が出ている時、その映像をズームイン/ズームアウトしながらカメラで撮影して、それを音に戻してみるという実験をした時のこと。「こんにちは」という声のピッチがズームイン/ズームアウトに合わせて変化した。言葉(Ko N Ni Chi Wa)は聞き取れたまま、テレビに近づけると声の音程が低くなり、遠ざかると高くなった。非常に面白く、わくわくした。
 
或は、僕はテレビの声を聴いた。昔、放送局の映らない7chは自分にとって最高の番組だった。7chは、いわゆる砂嵐の2chや11chとは違い、黒い画面に時々白い線がぴっぴっと飛び交う、非常にアンビエントなチャンネルだった。そこに映っている映像を、暗い部屋でピアノの音楽をかけながら眺めるのがちょっとした楽しみだった。ある時僕は、その7chを、この方法で音にして聴くことができた。それを僕は「7chの音楽」と名づけた。
 
「変換」とは何だろうか?同じものが、違った形として存在するということ。違った形になっても、あるルールによって、復元可能ということ。「本当の姿」とは何か?「知覚する」とは何ぞや?ということ。
そして身近に潜む、驚き。当たり前のようでいて、深く考えれば不思議。今回展示されている、玉ねぎの成長を刻々と時間軸に彫刻化していくDavid BOWENさんの「growth modeling device」、風を視覚化するLawrence MALSTAFさんの「Nemo Observatorium」、煙が自然科学の法則によって模様を描く関根雅人さんの「Texmoca」も、そんな日常の中に潜む驚異を気づかせてくれる作品だと僕は勝手に感じた。
 
 

 
今後のメディア芸術祭での活動日程:
10日 (水):13:30- / 15:30- (畠中実氏との対談!) / 16:30-
11日 (木):13:30- / 15:00- / 16:30-
12日 (金):16:00- / 17:00- (トーク!) / 18:00-(変更致しました:2/12)
13日 (土):12:30- (トーク!) / 13:30- / 15:00- / 16:30-
14日 (日):13:30- / 15:00- / 16:30-
 
LINK
メディア芸術祭web:Braun Tube Jazz Band
crabfeet.blogspot.com:関係性の宇宙変換の変換ビデオデッキはハーディ・ガーディ失われたハーディ・ガーディを求めて
 

4 comments:

nayoclar said...

本日メディア芸術祭にてお話聞かせていだきまして、おもしろいな、と思いました。
また、ICCでも作品を見させていただいておりました。

ブリコラージュは、エンジニアリングの対照にありながらにして、表裏一体なものだと感じました。

これからも応援しています!

etsuko said...

どうも!祝賀会と、何度かライブにお邪魔した某ファンの者です。
Braun Tube Jazz Band、観れば観るほど中毒になって行きます…
畠中さんとの対談で、小学生の頃クリムゾンに衝撃を受けたというお話がありましたが、私の場合恐らく同様の強度で和田さんの作品に「キター!!」となりました笑
ライブを観るたび、感電して充電して気力をぐわっと頂いております。

連日のパフォーマンス、トーク、お疲れさまです。
あと数日でメディア芸術祭が終わると思うと悲しくてしょうがないですが、またライブを拝見できる機会を楽しみにしてます!ゼミ生一同、和田さんを目指し精進します!笑

Ei Wada said...

nayoclarさま
 
コメントありがとうございます!確かに!二元論だと思っているものは実は表裏一体のものかもしれません。境界線を疑ってみることで、新しい何かを見つけることができると僕も思っています。考え方や方法論さえもmix!!

Ei Wada said...

etsukoさま
 
ありがとうございます。励まされます!頑張る気力が湧いてきました。よく見かけるので本当に嬉しいです。
 
メディア芸術祭が終わっても、ひとつ、心よりよろしくお願い致します!今後とも精進&産卵爆発してゆきたい次第です。